Idée Capricieuses ~元イギリス大学日本担当官の気まぐれブログ~

元イギリス大学日本担当官のブログです。 イギリス留学やサセックス大学、大学のある街ブライトン、趣味であるHR/HMや留学中に体験した奇妙な経験など思いついたことを気まぐれのままに書いていくブログです。

サセックス大学奨学金について

皆さん、こんばんは!

サセックス大学日本担当官です。

今日はよくお問い合わせをいただくサセックス大学奨学金についてお話していきたいと思います。

奨学金概要

日本の貸付型奨学金とは違い、イギリスで提供している奨学金は給付型です。
(正確には、留学生を対象とする奨学金は全て給付型で、現地の方には貸付・給付の両方あります)

給付型奨学金をもらうことができれば、留学費用(主に授業料)の経済的負担を軽減することが可能です。

提供している奨学金は金額も受給枠、対象者は各大学によって様々です。

毎年奨学金制度には見直しが入るため、年度により金額や受給枠は変動することもあります。

大学からの奨学金制度は申請時に大学からコースの合格オファーを受領している必要があります。
そのため、コースの出願審査中は奨学金申請できません。ご注意ください。

なお、後述するBusiness School International Masters Awardを除き、サセックス大学からの奨学金は1人辺り1つのみ利用できます。

※複数の奨学金制度への申請自体は可能です。

また、傾向として、大学からの奨学金は主にPG(修士)向けが多いです。UG(学士)向け奨学金制度は少数です。

奨学金は大学が提供しているもののみならず、イギリス政府が導入している留学生用奨学金制度"Chevening"や企業・財団が提供している奨学金、日本政府が行っているトビ立てジャパンなど、第三機関が提供している奨学金制度もいくつかありますので、一度調べてみてください。

この記事ではサセックス大学で提供している奨学金のみご紹介します。

それでは、奨学金制度について順にご説明していきたいと思います。

メモ
  • 年度によって、奨学金制度は廃止されたり、金額・受給枠が変更されることがあります。

  • この記事で紹介する奨学金以外にも日本人留学生が申請対象になるサセックス大学奨学金はいくつかありますが、本稿では主要な制度のみ記載します。

  • £→円への換算は約166円です。(2022年6月28日時点)

Chancellor's International Scholarships

まず、最初にご紹介するのはChancellor's International Scholarshipsですね。

概要は以下の通りです。

【対象者】学士・修士

【受給枠】100名

【金額】£5000(約83万円)

こちらは、基本的に毎年提供している奨学金制度です。

日本人留学生が奨学金申請する際は、基本的にこちらの奨学金になると思います。

ビジネス系・エンジニアリング系コースの学生は上記とは違うChancellor's International Business ScholarshipsまたはChancellor's International Engineering Scholarshipsになります。この2つは該当コース専攻生のみ申請可能で、通常のChancellor's International Scholarshipsと併用することはできません。

開発学専攻生も含めて、上記2つ以外へのコースを専攻する方は全てChancellor's International Scholarshipsで統合されています。

注意点としては、IDSで提供されている一部コースや医学部(BSMS)のコースなどは申請対象外となっています。

金額は後述する奨学金に比べて、少し高めに設定されているのが特徴です。

受給枠は100名になっていますが、毎年3000人以上の申請者がいるので倍率は非常に高いです。

ビジネス・エンジニアリングコース以外の留学生はこちらで一括されていることも、高倍率の理由の一つです。

例年だと、申請締め切り日は5月になっていますが、申請数が多すぎる場合は早期に締め切りとなります。

※2022年度は3月に締め切りました。

Chancellor's International Scholarships : University of Sussex

Sussex Alumni Award

次に紹介するはSussex Alumni Awardです。

【対象者】サセックス大学で学士・修士・博士コースのいずれかを卒業後、再びサセックス大学で修士コースを専攻する方

【受給枠】無制限

【金額】£2000(約33万円)

この奨学金に関しては、人数制限はなく、当大学卒業生であれば誰でも受給できます。

併せて、Chancellor's International Scholarshipと違い、最終成績(GPA)や申請動機提出なども必要ありませんし、卒業からどのくらい年月が経ったかも関係なく全ての卒業生が受給できます。

こちらはコース開始の9月まで受け付けており、毎年応募を受け付けています。

ちょっとわかりずらいですが、この奨学金はあくまでサセックス大学修士コースを専攻する方のみ対象です。

以下、申請条件の参考例です。

  • 修士(PG)コース修了後に別の修士コースを専攻(いわゆるダブルディグリー)

  • 学士コース修了してから数年後に修士コースを専攻

  • こちらもIDSで提供されている一部コースや医学部(BSMS)のコースなどは申請対象外となっています。

      ▶IDSと奨学金について

    IDSはサセックス大学の中にありますが、厳密に言えば、サセックス大学とは別の独立した研究機関となっています。

    運営元も微妙に違っているので、サセックス大学で適応されているルールがIDSだと適応されないこともあります。

    奨学金制度においても、サセックス大学のコースのみ対象としている奨学金制度はIDSのコースでは対象にはなりません。

    ただし、IDSとサセックス大学開発学コースが混ざっているコース、例えば、Food and Development MAなどは奨学金申請対象の範疇です。


    このAwardに関しては、Chancellor's International Scholarship など、他の奨学金制度と併用する事はできません。

    両方のオファーをもらった場合、片方は辞退する必要がありますので、ご注意ください。

    Sussex Alumni Award : University of Sussex

    Sussex Graduate Scholarship

    上記のSussex Alumni Awardに名前は似ていますが、このSussex Graduate Scholarshipは対象者や金額が微妙に違います。

    【対象者】サセックス大学で学士を卒業した同年9月からサセックス大学で修士を専攻する学生でSecond Upper Class(GPA:3.0)以上の最終成績を持つもの

    【金額】£3000(約50万円)

    【受給枠】無制限

    学士課程卒業後、同年9月から修士課程専攻する方に限定した奨学金となっているように、受給条件のハードルが高くなっています。

    ようは、学士から修士まで通しで専攻しなければないという事です。もちろん、最終成績もある程度維持しなければなりません。

    最大の難点はここまでにかかる年月と費用でしょう。

    日本人留学生(高校卒業者)がイギリスの大学へ進学する場合、イギリスと日本のグレードシステムの違いゆえ、ほとんどの方は1年間の大学準備コース(ファウンデーションコース)から学士の1年目に進学する必要があります。準備コース完了から学士へ進学・卒業を含めると、計4年かかります。そこから、修士に進学する1年を加えると、全ての課程が修了するのに5年かかり、費用もトータルで約3000万円くらいかかります・・・

    ブラックジャック
    ブラックジャック先生が請求する治療費並です
    出典: ブラックジャック ©手塚治虫/手塚プロダクション

    以上の事から、あまり現実的な奨学金制度ではないですが、当てはまる方もいらっしゃるかと思いますので、ご紹介しておきます。

    Sussex Graduate Scholarship : University of Sussex

    Draper Scholarships

    【対象者】修士

    【金額】£3000(約50万円)

    【受給枠】三名

    こちらはLLM(法学修士)専用の奨学金制度となっています。

    受給枠が3名のみとかなり厳しいですが、LLMコースを専攻される方は申請してみると良いでしょう。

    参考までにですが、こちらは必要なGPAは明記されていなく、審査は経験やバックグラウンドを重視する模様です。

    Draper Scholarships : University of Sussex

    Business School International Masters Award

    【対象者】ビジネススクールで提供している修士コース専攻生

    【金額】£3000(約50万円)

    【受給枠】無制限

    最後に紹介するのは、Business School International Masters Awardです。

    こちらは奨学金というよりも、どちらかというと賞金みたいなものですが、ビジネススクールで提供されている修士コースを専攻する全留学生を対象に給付されます。

    2021年にサセックス大学ビジネススクールがイギリス国内ランキングトップ10位にランクインした記念として導入された制度です。

    ビジネスコースのみならず、エンジニアコースでもEngineering School International Masters Awardとして同一内容で賞金が提供されています。
    (エンジニアスクールもトップ20位にランクインしました)

    申請条件や申請手続きもなく、受給枠の上限もない文字通り対象コース専攻予定の留学生であれば誰でも受け取ることができる賞金ですので、該当コース専攻生は自動的に授業料から減額されます。

    このような制度ゆえ、いずれは廃止されると思いますが、現段階では2023年度も続ける模様です。
    ※あくまでも現段階なので、直前でなくなる可能性も否定できませんが・・・

    ちなみに、このAwardは最初の方に説明したChancellor's International Scholarshipと併用可能です。

    どちらも受給することができれば、£8000分(約130万円)の授業料が減額されますので、該当者はChancellor'sにも奨学金申請しておくことをおすすめします。

    The University of Sussex Business School International Masters Award : University of Sussex

    一般的な審査の基準

    ここまで一通りサセックス大学の奨学金についてお話しましたが、奨学金を申請する際に気になる審査の基準についてお話します。

    奨学金審査でまず一番見られるところは、最終学歴成績です。

    公式ウェブサイトにも記載されていますが、基本的に申請条件としてGPA3.5以上となっています。

    数値化されているGPAは審査判断材料として利用しやすいためです。

    その次は、申請動機です。

    "なぜ奨学金を受給するのにふさわしい学生か説明してください。"みたいな質問に対して申請理由を説明するパートです。

    自己アピールチャンスなので、職務経歴・バックグラウンドを絡めながら、しっかり理由を肉付けして熱意を表現しましょう。

    経済的理由や利己的な理由だけでは、奨学金申請の動機としては不十分です。

    例え、GPAが3.5を満たせていなくても、申請動機・バックグラウンドなどで補完できれば合格する可能性はあります。

    逆に、GPAが高くても動機がイマイチだったりすると落とされてしまいますので、申請動機はキッチリと書いておくと良いです。

    最後に

    ここまで奨学金について簡単に解説してきましたが、奨学金への応募はどれも倍率が非常に高いです。

    もっともポピュラーな奨学金制度であるChancellor's International Scholarshipはほぼ全世界の留学生を対象にしているだけあって、100人の枠で3000人以上申請者がいるくらい応募が殺到するので、どれだけ申請に気を遣っても、落とされるときは落とされます。

    さらに、冒頭でもお伝えしましたした通り、奨学金受給枠も毎年固定ではなく、年度によって50名に変わったりしますが、枠が変わっても出願数に違いはほとんどないので、そうなると更に倍率が高くなります。
    (もっとも、50名の場合、受給金額が上がったりしますが)

    大学からの奨学金に関しては、人数無制限の奨学金以外は倍率が高く厳しいので、奨学金を希望されている留学生の方は大学から提供している奨学金だけに絞るのではなく、他の第三者機関からの奨学金制度にも応募しておくと良いと思います。

    複数の奨学金制度に応募しておくことは、落ちるリスクの分散にもなりますし、両方から奨学金をもらうことができれば、留学費用の負担を大きく軽減できるでしょう。

    奨学金は申請数が多くなると予定より早めに申請を締め切る場合がありますので、奨学金申請を考えている方は早めに大学へ出願~合格オファー受領の手続きを済ませましょう。

    留学年度前年の出願であれば、早期締め切りはまずないと思いますので、12月くらいまでに出願審査書類を提出しておけば奨学金の早期締め切りを心配する必要はないですね。

    何かご質問やご相談したいことなどあれば、↓の個別相談ボタンから日程予約していただければ口頭でじっくり説明しますので、気軽にお問い合わせください。

    今週はここまで!

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