Idée Capricieuses ~元イギリス大学日本担当官の気まぐれブログ~

元イギリス大学日本担当官のブログです。 イギリス留学やサセックス大学、大学のある街ブライトン、趣味であるHR/HMや留学中に体験した奇妙な経験など思いついたことを気まぐれのままに書いていくブログです。

注意!悪質不動産による留学生狩り~対処方を伝授~

皆さん、こんにちは!

サセックス大学日本担当官です。

今日はイギリスの悪質不動産についてお話していきたいと思います。

悪徳不動産について

まあ、どの世界でもそうですが、イギリスにも悪徳な不動産会社は多数あります。

契約満了後のデポジットを払い戻さない、修理で高額請求してくる、不在時に勝手に部屋に入ってくるなど家のトラブルは様々です。

特に留学生は言語的な問題や英国滞在可能期間など、英国在住者と違って、いろいろ枷があります。悪徳不動産はそれらの盲点をついてきます。

本記事では、そんな悪徳不動産について注意すべき点や出くわした時の対処法などを筆者の体験談(失敗談含む)交えて、詳しく解説していきます!

悪徳不動産の見分け方

正直、パッと見てみて悪徳不動産かどうかは見分けるのはかなり難しいです。

実際、RightmoveやZooplaとかを覗いてみても、たくさんの物件が出てくるのでその中でどれが良いのか精査していくのはとても大変だと思います。

※Rightmove、Zooplaはイギリス国内の物件探し用ウェブサイトです

ただ、注意すべき点はいくつかありますので、そこを気を付けていれば悪徳不動産会社には引っ掛かりにくいと思います。


注意点その① 家の契約期間

まず最初に気を付けておくべき点は家の契約期間ですね。

以前の記事でも少しお話しましたが、
イギリス国内での家の契約期間は基本的に1年です。

これより短い期間、例えば6か月の賃貸などはちょっと疑ったほうが良いです。

家の契約期間は家主との交渉次第で、ある程度どうにでもなる部分はあるのですが、大多数の家主は1年期間の契約で物件を貸し出しています。

家主の視点で見れば、1年契約は家賃収入面で安定するから好まれているのでしょう。

一方、6か月契約などの短期契約は、短期滞在したいケースだと便利ではありますが、それらの物件は"とりあえず誰でもいいから入居者を入れたい"と言うのが実情であり、ちょっとトラブルが多い印象なので、特別な理由がない限りは避けた方が無難です。

まあ、人気のある物件であれば、少々高額でも1年契約ですぐに埋まりますからね。

ちなみですが、6か月未満の契約はイギリスの法律上違法となっています。

違法物件を貸し出している不動産は言うまでもなく真っ黒な会社なので、絶対に契約しないようにしましょう。

(売上のためには何でもやる不動産会社もあります。私もブライトンで一度その話を持ち掛けられたことがありますし 笑)

ただ、難しいのが物件の所有者が、例外的に6か月未満の契約を認めているケースもあります。

そのため、契約期間の短さだけで見極めるのはなかなか難しいです。


注意点その② 異様に賃料が安い

サセックス大学留学費用の記事にも書きましたが、ブライトンの賃料はとても高額で、 イギリス国内の街でロンドンの次に土地代金が高いと呼ばれるくらい高いです。

kkm10m.hatenablog.com

そんなブライトンでも、街の中心地近くにある家具付き物件にもかかわらず大学寮より安いワンルームもたまに出ています。

しかし、そんな場所は普通じゃありえない金額なので、地雷の可能性が高いです。

住み心地や利便性、低賃料の好条件が三拍子揃っていますが、その分トラブルも多いと思います。

もちろん、全ての格安物件がダメだという意味ではなく、中には好条件で格安のお部屋もあるかと思いますが、その街の価格相場をある程度頭に入れてから、慎重に選ぶようにしましょう。

同じ不動産会社から格安物件が複数出ている時は、注意が必要です。


注意点その③ 口コミのほとんどが悪評判

普段よく評判や口コミなどをチェックする方は問題ないのですが、私みたいに口コミをあまり気にしないタイプの方は好条件の物件を見つけたら、まずインターネットで提供している不動産会社の評判を事前にチェックしましょう。

評判が悪い会社には以前の利用者からの酷評コメントがズラリと並んでいると思います 笑

特に、同じ内容のトラブルについて何度も言及されている場合は、自分にも同じトラブルが降りかかってくると思った方が良いです。

私も某不動産会社とトラブルに発展した後にインターネットで調べてみたら、過去の利用者達も全く同じ内容で会社とトラブルになったと述べていましたね。

家を借りる前にちゃんと調べておけばよかったと思います。

個人的な感想なのですが、飲食店やその他サービスに比べて、不動産会社の評判・口コミはある程度信用できるものではないかと思います。

なお、Google Map上のレビューは当てにならないので、その他の口コミサイトを調べてみてください。

後述する私が利用した悪徳不動産会社はGoogle Mapでは4.0くらいなのに、下記不動産口コミサイトでは2.0ほどでした。

↓のウェブサイトからエージェントの評価を検索できるので、是非利用してみてください。 (サイト上に名前が記載されていないエージェントもありますが)

Find Your Estate Agent or Letting Agent | allAgents

悪徳不動産と契約するとどうなる?

実際に悪徳不動産会社に契約するとどうなるのかについてここでお話していきます。

私が契約したお家はブライトンの中心地から歩いて3分圏内のインターネットと家具付き物件(スタジオ)でした。

ちなみに、この家は2件目であり、以前の記事でご紹介した家賃が急上昇している家とは別物です。

電子レンジ、冷蔵庫、ベッドなど生活に必要な物が全て設置済みという好条件にもかかわらず、確か1ヶ月£800(約12万円)くらいだったと思います。

内装もなかなか綺麗でしたし、何より立地が素晴らしかったです。

貸し出しをしていた不動産会社も契約時の対応もとても紳士的でしたので、そのまま6か月の契約を完了しました。

この時の私は6か月間のみ滞在する予定で、契約期間1年のイギリスの住居ではなかなか住居が見つからず、四苦八苦していたところ このお家を見つけました。今振り返れば、6か月でも契約可能なこと自体疑うべきでしたね。

住み心地は良かったですが、事前連絡なしのまま、突然内見で次の入居を検討している人を連れてきたりなど、 嫌なことはありましたが、この辺りはイギリスだし、まあいっか~くらいの軽い認識で住んでいました。

まともな会社であれば、内見の際はちゃんと事前に通知してくれますので、それをしない時点でずさんですが・・・

そうしていたら、賃貸契約終了後に最も不誠実な出来事が起こりましたね。

その出来事とはデポジットの未返還です。

デポジット(日本で言う敷金)は賃貸借契約が終了後に賃貸人へ払い戻しされるお金です。

最後に不動産会社のオフィスで鍵を返す時に、担当者は"デポジットは返します"と言っていましたし、日本に帰国してからメールで問い合わせした際も"返金します"と返答が来ました。

しかし、この不動産会社は返しますと言うだけで、返す気は全くなく、いくら問い合わせも返金されませんでした。

最終的には送ったメールも全て無視されました・・・

かつての私も含め、留学生はみな外国人のため法的に認められた滞在期間しか英国に住むことができず、いずれは国外に出る必要があります。

悪徳不動産はそこに付け込んできて、どうせもうイギリスにいないのだから、直接オフィスに訪問することもないと高を括って、そのままダンマリを決め込み、なかったことにするのが手口です。

デポジットも確か20万円ほどだったので、その不動産会社はそれを懐に入れようとしていました。

さすがにこの対応には私も怒りを感じましたね~

怒り心頭の画像
絶対に許さないとこの時決心しました
出典: ドラゴンボール/ ©鳥山明/集英社

ここから私の反撃が開始します。

不動産会社とトラブルが起こった時

結論から申し上げますと、最終的にデポジットは返還してもらいました。

そこまでの手続きが面倒でしたが、弁護士とかに頼らずに、経費をかけずお金を取り戻すことができたのは良かったです。

イギリスで不動産会社とトラブルが起きた際は、Property Ombudsmanに頼るとよいです。

Property Ombudsmanとは、消費者と不動産会社に仲介役として問題を解決してくれる行政機関です。

日本で言うところの不動産協会みたいなもので、無料で問題解決のお手伝いをしてくれます。

法律事務所ではないので、訴訟などには対応していませんが、トラブルの内容を連絡すれば、その後どういった対処をすればよいかについてアドバイスしてくれるので安心です。

ただ、解決のためには証拠や不動産会社とのやりとりの記録などPropety Ombudsmanに報告する必要があるので、自分に非がないことを証明するためにも証拠集めは念入りにしておきましょう。

私のようなデポジット未返還に関するケースだと、

  • メールでのやりとりのスクショ
  • 銀行の取引履歴書
  • 家の契約書と退去証明書
  • Propety Ombudsmanから送付される書類

  • など、上記のような書類がいくつか必要になります。
    (ケースによって必要なものは異なります)

    ここからは当時の出来事を思い出しつつ、トラブル発生後から解決までの流れを解説していきます。


    1. 自分で不動産会社に連絡する

    まずは、自分と不動産会社で起こっているトラブルについて会社に連絡します。

    2週間くらい経過しても、音沙汰無しで全然対応してくれない場合、Property Ombudsmanに報告します。

    この際に、証拠書類も一緒に添付して報告します。

    ※私の場合は、銀行振り込み履歴・メールでのやりとり全てのスクリーンショット・家の契約書など


    2. Property Ombudsmanから今後のステップについて説明

    Property Ombudsmanからガイドラインと記入が必要な書類が配布されます。

    まずは、平和的に解決するため、不動産会社の代表の連絡先がProperty Ombudsmanから共有されますので、代表に連絡します。

    8週間以上経過しても代表または会社から連絡が無い場合・連絡があったが内容が不服だった場合は正式な苦情申請を希望とProperty Ombudsmanに連絡します。

    それと並行して、先程記述した書類に必要事項を記入して、Property Ombudsmanへ送付する準備をします


    3. Property Ombudsmanから会社へ通知

    Property Ombudsmanへ申請すると、今度はEvaluation Teamが報告のあったトラブルについて不動産会社側を正式に調査をするか否かの審査が行われます。

    この審査にはだいたい3~4週間かかるみたいです。

    審査が終わり、問題ありと認められた後に行政機関側から不動産会社にトラブル調査の連絡が届きます。

    この連絡はあくまで、お知らせ程度なので法的拘束力などはありませんが、それなりに効果はあります

    なにせ、実際にこの通知後、不動産会社から私宛に連絡が来て、 "デポジット返還のために必要な口座情報を教えて欲しい" と今まで1年以上無視されてきたメールに返信が来ました。笑

    住居契約終了の際に、先方に既に銀行口座情報は既に伝えているのに、再度口座情報を聞いてくるということは、元々払い戻しする気がなかったことが垣間見えるのが、気に入りませんでしたが。

    ただし、これで問題が解決したわけではありません。

    向こうは"指定された口座に払ったので口座確認してください"と言うのですが、実際は振り込まれておらず、Ombudsman側には支払い完了したと報告していました。

    Ombudsmanからは、"会社は振り込んでいるって言っているけど、実際に振り込まれたか確認してください"と言う連絡が来ました。

    しかし、いくら確認しても一切払い戻しの金額が振り込まれておらず、猶予を与える意で最初の支払い完了メールから1ヶ月ほど時間を置いたのですが、いつまで経っても振り込まれることはなかったです。

    これには流石に私も堪忍袋の緒が切れたので、正式な苦情としてProperty Ombudsmanに報告しました。


    4. 正式な苦情から返金

    Property Ombudsmanに正式な苦情として書類を提出するやいなや、1年も音信不通を突き通していた会社とは思えぬほど迅速にデポジット支払いについてのメールが来ました(笑)

    "Sorry there has been a issue with the payment of your deposit"の言い訳付きですけどね。

    家の契約が終了したのが3月でして、その後4月に私からのメールを最後にずっと音信不通で無視し続けていたにもかかわらず、1年後にProperty Ombudsmanから正式な苦情の通知が送られたらすぐに返金されたので、この1年間ずっと支払いに問題が生じていたなんて言いわけを誰が信じるんですかね~ とても往生際が悪いです。

    同年の12月にProperty Ombudsmanに初めて連絡してから、デポジットが返還された翌年5月までに約5か月かかりましたが、最後は奪還できました。

    何故家の契約終了後から一年ほど空白があるのかと言うと、報告に必要な書類集めややりとりがめんどくさかったという理由で私がしばらく放置していたからです。

    実はProperty Ombudsmanによる対応期間には有効期限があるようでして、各トラブル発生日からその期限が切れると対応することができなくなるのです。(確か1年くらいだったと思う)

    私はその事実を知ったのがかなり後だったので、期限に気づいてから急ぎで動き始めました。そのため、空白の期間ができてしまったと言う訳です。

    正直なところ、4月のメールへの返信が音信不通のまま6か月くらい経ったときに、もうデポジット返還はあきらめていましたが、偶然Property Ombudsmanの存在を知ったおかげで、取り戻すことができました。

    なので、もし不動産トラブルが起きた場合は、デポジット返還の有効期限日に注意しましょう。

    まとめ

    私の場合はデポジットに関するトラブルでしたが、人によってはもっと複雑で大きなトラブルが起こるかもしれません。

    前述通り、留学生の場合いずれは国外に退去する必要があるため、足元を見られることが多いと思いますが、 もし留学中に不動産会社と何かトラブルがあった場合は、Property Ombudsmanに一度ご相談してみてください!きっと手助けしてくれるはずです。

    以上、イギリスの悪徳不動産に関するお話でした。

    では、また来週!