皆さん、こんにちは!
サセックス大学日本担当官です。
今日は前回の続きとして、当大学学生が作曲した音楽のレビューパート②についてお話していきたいと思います
前回と前々回のレビューを併せてお読みいただけばと思います。
前回では9~16曲までレビューしたので、今回は17曲目から最後の25曲目まで一気にレビューしていきます。
いつも通り、知っている限りの知識をフル活用しながら、全然聴かないようなジャンルの曲も四苦八苦しながらレビューしています。
あくまで個人的に感じた印象・感想なので読み流す程度で参考にしていただければと思います。
前回・前々回で既に貼り付けていますが、初見の方向けにSpotifyのリストを再度下記に貼り付けておきます。
それでは、早速行ってみましょう!
- 17曲目:Because You are Young:Marty Hampton
- 18曲目:Red Rock Riviera:Sea Power
- 19曲目:In Disguise:ELODIE
- 20曲目:Light Up:Dutch Criminal Record
- 21曲目:Bilili:Ferhad Feyssal
- 22曲目:Coward:Noodlebuns
- 23曲目:So Sweet:Tamara Kramar
- 24曲目:Forever Lost:Christian Hannan
- 25曲目:I am Still Alive:Sara Motevaselian
- まとめ
17曲目:Because You are Young:Marty Hampton
本稿で最初にレビューするのはPlaylist上の17曲目Marty HamptonからのBecause You are Youngです。
本作はアコースティックギターが鳴り響くバラードです。
アコースティックギターのみを使用した楽曲となっており、無駄に装飾しないシンプルな曲ですね。
ファルセットを多用した歌声が哀愁を少し感じさせてくれます。かすれ気味の声も曲にマッチしていると思います。
ハードさやドラマティックさは皆無の単調な感じの曲である上に、ボーカルも一本調子ぎみのフラットな歌い方なので、ちょっと飽きやすいかな~と個人的に思いました。
加えて、曲のメロディーも至って普通なので印象が薄いことも拍車をかけていると思います。
アコースティックギター主体のバラードを好まれる方であれば楽しめるでしょう。
18曲目:Red Rock Riviera:Sea Power
18曲目はアーティスト名Sea PowerによるRed Rock Rivieraです。
本楽曲はインストゥルメンタル中心の曲となっています。中心と言ったのは、後半のパートに少しだけボーカルが入るためです。
吹奏楽器で演奏されるイントロは軍歌みたいでかっこいいです。
イントロ以降はドラムやストリングス、コーラスが入ってきて曲を盛り上げていきます。ドンドン壮大になっていきます。
ピークに到達した後は、静かになっていき、最後はピアノと波の音で余韻を感じさせつつフェードアウトしていきます。
壮大な曲ではありますが、始まってから5分くらいずっと同じメロディーを繰り返している上に、7分と比較的長めの曲となっているため、途中でダレやすいという欠点はあります。
途中でバシッとした決めフレーズなどがあればいいのになぁ~と聴いてて感じましたが、なかなか悪くないと思います。
楽曲とは全く関係ない事ですけど、タイトルにロックと付いている思わせぶりから、ロック音楽かなっと思いましたが、聴いてみたら全然ロックじゃなくて、一人で勝手にガッカリしましたね。笑
19曲目:In Disguise:ELODIE
19曲目はELODIEからIn Disguiseです。
エレクトロポップ系・ダンス系の楽曲となっています。
リズミカルなパートとフワフワとした浮遊感が混じった本曲ですが、レビューパート①でご紹介したSunnyと系統は似ていると思いますが、Sunnyの方がよりメロディアスかと思います。
こっちはリズム重視・あっちはメロディー重視と言った感じで住み分けができており、別々の音楽として楽しめるでしょう。
正味、他に書くことが思いつかない・・・笑
20曲目:Light Up:Dutch Criminal Record
20曲目はDutch Criminal RecordからLight Upです。
Dutch Criminal Recordと言えば、前回でレビューしたStuck Betweenというノリの良いポップパンク(メロディアスパンク)系の楽曲を提供していましたのは記憶に新しいですね。
本Spotifyリスト上に唯一2曲登録されている彼らですが、そんな本作はというと、ロック特有のハードさやスピード感を排除したかなりポップよりの楽曲になっています。
ポップ路線と言っても、現代ポップスのようなサウンドではなく、80年代ポップスをかなり意識した作品で、この手の音楽好きにとっては結構ツボを押さえています。
第一印象としてはCulture Club(カルチャー・クラブ)やRoxette(ロクセット)、Wham!(ワム!)みたいな80年代ポップス+The Killers(ザ・キラーズ)を組み合わせたようなサウンドと言ったところでしょうか。
前回紹介した80年代ポップスの影響を強く受けたTideによる楽曲”Kaleidoscope”と比べると、こっちのほうがロックサウンドに重きを置いています。
ロックサウンドと昔のシンセサイザーの音色を上手くミックスさせた良曲だと思います。
なにより、メロディアスパンク系の曲も作曲できる一方で、このようなポップスソングも作曲できる作曲センスは特筆すべき点でしょう。
どちらもメロディーの質は高いので、この引き出しの広さは実に素晴らしいことです。
一辺倒にならずに色々なタイプの楽曲を作曲できるのはとても魅力的ですね!
Primal Scream(プライマル・スクリーム)やAvenged Sevenford(アヴェンジド・セブンフォード)みたいな多様な楽曲を生み出せるバンドとして今後も期待大です。
21曲目:Bilili:Ferhad Feyssal
21曲目はFerhad FeyssalからBililiです。
この楽曲はアコースティックギター主体の哀愁漂うバラードです。
珍しく歌詞が英語ではないため、独特の雰囲気があります。
バラードではありますが、明るさを感じさせないタイプで暗さと哀愁が溢れる良曲です。
前述したアコースティックギターのみで演奏した楽曲に比べて、雰囲気はこっちのほうが断然好みです。
途中で入るハーモニカもいい味を出していますし、バッキングで鳴っているスパニッシュギターも哀愁の演出に一役買っています。
アラビアっぽい・民謡っぽいメロディーは民謡などを好む方にとっては美味しいのではないでしょうか?
このアーティストはどうやら中東のクルディスタン出身のクルド人の方のようです。出自から見て、この哀愁あるメロディーは非常に納得できますね。
総じて、独特の民謡っぽい哀愁あるメロディーとぼそぼそと歌うボーカルの歌唱が心に沁みるいい曲だと思います。
22曲目:Coward:Noodlebuns
22曲目はNoodleburnsからのCowardです。
こちらも先程のBililiに続いてアコースティックギターのバラードです。
先程のBililiと違って、こっちは明るめの雰囲気を持つ曲調となっており、暗さや哀愁はほとんど感じないです。
曲作りや展開は結構練られており、静→動に移っていく感じの展開やサビのメロディーはなかなか良いですね。
ボーカルもエモーショナルな歌い方をしてます。後半のパートで入ってくる感情剥き出しのシャウトもありです。
哀愁こそ感じませんが、シャウトのおかげで悲愴感や悲痛な感じを演出できていて興味深いです。
ちょっとありきたり過ぎる点を除けば、クセが無く聴きやすい曲でしょう。
23曲目:So Sweet:Tamara Kramar
23曲目はTamara KramarからSo Sweetです。
本楽曲は現代的なポップスです。
So Sweetというタイトルにピッタリの曲です。ソフトな囁く系ボーカルにまったりめの曲調で仕上がっています。
レビューパート①と②でもこの手のポップスはありましたが、流行りなんですかね?。
違いを挙げるとしたら、本作は手拍子が曲全体に入っている点ですかね。他の似たような楽曲では意外にも手拍子は入ってなかったので、ちょっとだけ新鮮味を感じました。
それと、アップテンポではないですが、メロディーはのりやすい感じの比較的リズミカルなものなので、一般的なポップスといえば?と思いつくようなイメージを持つ楽曲です。
このノリは今までレビューした似た路線の楽曲群にはなかった要素なので素直に喜ばしいです。
ボーカルが結構甘めの声質をお持ちの方なので、ロック・メタル愛聴者は10秒くらいで停止ボタンを押してしてしまうかもしれません 笑
24曲目:Forever Lost:Christian Hannan
24曲目はChristian HannanからのForever Lostです。
ここで素晴らしい朗報をお届けします。
本作ですが、何とマジモンのピュアなヘヴィメタルですよ!皆さん!
ここまでレビューしてきたサセックス大学の学生が作曲した楽曲にはメタルは一つもなく、正直、私は心の中でこのSpotifyリストにヘヴィメタルは収録されていないだろうな~と思っていた矢先、24曲目でついにヘヴィメタルが降臨しました。
さて、楽曲のレビューですが、イギリスのメタル代表格”Iron Maiden(アイアン・メイデン)”からの影響が色濃く残る正統派メタルソングです。
イントロからギター弾きまくり、ザクザクのギターリフというヘヴィメタル要素をこれでもかと入れています。
終始にじみ出ているIron Maidenサウンドに、これだよこれ!これぞヘヴィメタル!という気持ちを呼び起こしてくれます。
AメロやサビはThe Wicker Manっぽく、アウトローはFear of The Dark・No More Lies系で終わります。 笑
ギターソロでもIron Maiden節炸裂です。
下記サビの元ネタです。ぜひ聴き比べてみてください。
2000年代辺りのIron Maidenの楽曲といえばピンとくる方もいらっしゃるかと思います。Brave New World・Dance of Death辺りのアルバムに収録されていそうな曲です。
まあ、色々とお話しましたが、Iron Maidenのような正統派メタル好きにとっては最高の一曲でしょう。私も即お気に入りに追加しましたね。
Iron Maidenのフォロワーと言ってしまえばそれで終わりなんですが、この手のサウンドに弱い私にとっては、やっぱり王道的な正統派メタルって感じでめちゃくちゃカッコいいんですよね~
なにより、今の時代(2022年リリース)に正統派ヘヴィメタルソングをサセックス大学の学生がリリースしたと言う事実は素直に喜ばしい事です。
多くの学生がポップスやオルタナティブロック、ノイズ、実験音楽、の影響を受けた楽曲を作曲しているなか、時代錯誤だと言われようとも、彼は愚直なまでに伝統的なブリティッシュヘヴィメタルを作曲していた、その事実だけでも称賛に価します 笑
メタルをやるにしても、Skillet(スキレット)やLinkin Park(リンキンパーク)のようなオルタナティブ・ニューメタル寄りに行かなかったことも、古き良きメタルを愛する人たちにとっては好印象でしょう。
そのメタルに対する熱い姿勢は、かつてのEnforcer(エンフォーサー)やSkull Fist(スカルフィスト)を筆頭としたニュー・ウェイブ・オブ・トラディショナル・ヘヴィメタル(通称:NWOTHM)を思い起こさせてくれます。
プレイリスト上で明らかに浮いていることは内密に・・・笑
若手メタルアーティストとしてぜひ頑張って欲しいところですね!
25曲目:I am Still Alive:Sara Motevaselian
25曲目、最後のトラックを飾るのはSara MotevaselianからI am Still Aliveです。
本作は映画のサウンドトラックのようなピアノ・コーラス・ストリングス・オーケストラ(打ち込み)など多用した壮大なインストゥルメンタル曲です。
プレイリストの最後にこのような曲を持ってくるとは、ドラマティックで良いですね。
レビューパート①でご紹介した”Moonlight”のようなダークアンビエント的要素も少し兼ね備えつつ、曲が進むにつれてオーケストラで壮大な雰囲気を演出しており、興味深いです。
前回ご紹介した環境音楽的インストゥルメンタル曲と違って、メロディアスかつコンパクトにまとめているのも良い点だと思います。
曲の終わりがイマイチなところが惜しいですね。無理やり終わらせた感じでちぐはぐ感がものすごいです。
アウトローがなぜあんなブツ切りにしたような終わり方にしたのか謎ではありますが、よい曲です。
まとめ
以上、サセックス大学の学生が作曲した音楽を真剣にレビューしてみる~その③~でした!
これにてサセックス大学の学生が作曲した音楽のレビューは終了となります。3部作(Trilogy)構成の記事にはなってしまいましたが、ここまでお楽しみいただければ光栄です。
計25曲をレビューしてきましたが、多種多様な楽曲がありました。
今回はアコギバラードが3曲と多めでしたし、まさかのヘヴィメタルチューンがあったりなど面白かったです。
ちなみに、これを機に初めてSpotifyを使ってみたのですが、気になるアーティストの新作をすぐに聴けたり、類似アーティストの表示精度の高さ、新しいアーティスト探し、日本国内でリリースされていない諸外国のアーティスト検索、廃盤になって音源が難しいアーティストの音源視聴、カヴァー曲探しに使える、など利便性の高い素晴らしいアプリだと実感しました。
特に音楽検索ツールとしては、Youtubeよりも手軽に利用できて非常に便利です。
Youtubeでカヴァー曲を探そうとしても、だいたいアマチュアのカヴァーが検索上位に引っかかることが多いのでイマイチ使いずらいんですよね。
意外なミュージシャンによる意外なカヴァー曲、アマチュアでもボーカルまたはギターだけのカラオケ版カヴァー(コピーとも言うべきか?)ではなく、歌・演奏全部カヴァーしている曲を聴いて、原曲との違いやアレンジの仕方を比較することが面白いと思っている自分とってはSpotifyはありがたい存在ですね。
Youtubeにもそういうのはたくさんアップロードされていますが、上記のようなカヴァー・コピーと入り混じっているので発掘するのが大変です。
加えて、Spotifyのインターフェイスも使いやすいですし、再生数の多い人気曲表示も興味深いです。
特に人気曲は各アーティストごと10曲ずつ見やすくまとめられているためとても便利です。
自分のお気に入りの曲が人気曲リストに入ってなかったり、逆に、自分があまり好きでない曲がTop 10に入っていたりなど、比較できるのが大変面白いです。
ただし、Spotifyで収録されていない曲・アルバムが多すぎるので、本気で好きなアーティスト/バンドの音源を聴くことに関しては、全く向いておらずイマイチと言ったところです。
HelloweenのThe Dark Ride、Symphony Xの V – The New Mythology Suite、Black SabbathのHeadless Cross、Judas PriestのJagulator、Axel Rudi PellのOceans of Time などなど、個人的にかなり気に入っているアルバムを聴けないのは非常に残念です。
しかも、このSpotify、どうやら開設したアカウントによって収録曲が大幅に違う様子です。
先日、訳あって外国のアカウントでSpotifyをログインさせていただいた機会があったのですが、収録曲数・アルバムが段違いでビックリしました。
外国のアカウントだと全アルバム収録されているが、日本のアカウントだと数枚だけといったアーティスト/バンドもザラにあります。
※上記のバンドSymphony Xだと、外国のアカウントでSpotifyにログインすると、5thアルバムの”V – The New Mythology Suite”のみならず、6thアルバムである”The Odyssey”も収録されている(しかも、日本盤限定のボーナストラックである ”Masquerade’98” も収録されている!?)日本盤限定のボーナストラックが日本のアカウントでは視聴不可というのは一体どういうことなのでしょうか?全く理解できません・・・
計13枚のアルバムをリリースしているドイツのメタルバンド”Primal Fear”(プライマル・フィア)も日本のSpotifyアカウントだと、1stのPrimal Fearと12thのApocalypseの計2枚だけしか聴けません。音楽を聴くツールとしてはあまりにも致命的すぎます。
あと、一部アーティストの※ブートレグも聴き漁る人間にとっては、それらがほとんど聴けないSpotifyは音楽を聴くツールとしてはかなり痛手ですね。
※ブートレグ(Bootleg)とは公式音源としてリリースされていないライブ音源やデモ音源のことを指す。いわゆる、非公式音源です。①公式ライブ音源では聴くことができないレアな楽曲のライブ演奏、②公式音源ではリリースされていない前任ボーカル時代のライブ音源、③TV放映用に撮影された当時のライブ公演、④公演中に起こったトラブル・アクシデントをそのまま収録した音源、⑤製品版とは異なる音源のデモテープなど様々です。
ブートレグは非公式なので当然Spotify上ではほとんど聴くことができません。
しかし、最近だと、ブートレグの一部を半公式音源としてリリースしたり、”デラックスエディション”としてスタジオアルバムと抱き合わせ販売している商品も多々見受けられますので、そのような一部音源に関してはSpotify上でも視聴できます。
色々Spotifyのデメリットも書きましたが、その一方で、メリットもたくさんあるので一長一短ですね。
音楽専用検索ツール兼ライブラリーとしての利用するのであればSpotify
じっくり音楽を聴くのであれば、CDからのリッピングまたはYoutube
といった感じで使い分けると良いと個人的に思った次第でした。
話が若干逸れましたが、今週はここまで!