Idée Capricieuses ~元イギリス大学日本担当官の気まぐれブログ~

元イギリス大学日本担当官のブログです。 イギリス留学やサセックス大学、大学のある街ブライトン、趣味であるHR/HMや留学中に体験した奇妙な経験など思いついたことを気まぐれのままに書いていくブログです。

サセックス大学ISC:大学進学準備コースについて

皆さん、こんにちは!

サセックス大学日本担当官です。

今日はサセックス大学の部署"ISC"で提供している進学準備コースについて解説していきたいと思います。

ISCとは?

サセックス大学ISCは"International Study Centre"のイニシャルから取った略称です。(以後、ISCと記載)

この部署では大学へ入学する前に受講する準備コースを提供しています。

※準備コースの名称は超長いので、本稿では略称を多用しています。

準備コースは主に3種類あり、日本人高校生が大学留学する際に受講が必要な大学ファウンデーションコース(通称IFY)、日本の高校を卒業して追加で学業を修めた人が対象となるインターナショナルイヤーワン(通称IYO)と大学院へ進学する際に受講するプリマスタープログラム(通称PMP)で構成されています。

これらの準備コースは留学生のみを対象としているため、当然、在籍している学生も留学生のみです。

IYOとPMPの受講に関しては基本的に任意ですが、日本人高校生は高校卒業後にイギリス大学へ直接進学ができません。

その理由は日本とイギリスの教育システムが違いです。

日本人の高校卒業資格だけでは大学入学に必要なGrade Levelが足りないためほぼ強制的にIFYの入学が必須になります。

※簡単に言うと、イギリスではGCSE・A-levelと言う教育プログラムを修了すればGrade 13とカウントされますが、日本の高校卒業生はGrade 12までとなっています。その一年の埋め合わせのためにIFYの受講が求められます。イギリス人の学生が大学進学する際は皆A-levelまで完遂して大学に進学しています。

各コースの詳しい説明は後程説明していきますが、概要としてはこんな感じです。

ちなみに、ISCは大学の中にありますが、大学が直接運営しているわけではなく、民間の教育プロバイダーが運営・管理しています。

そのため、ISCの細かい質問などは基本的にそのプロバイダーのみが知っていることケースが多いです。

サセックス大学ISCのみならず、ほとんどのイギリス他大学は民間の教育プロバイダーと提携して各準備コースを大学内で提供しています。ご参考までに。

大学ファウンデーションイヤー(IFY)について

まず、大学ファウンデーションコース(通称IFY)についてですが、こちらは大学進学に必要なアカデミックスキルや英語力を養うために提供されている1年間のコースです。

概要でもお話しましたが、イギリスの教育制度との違いにより、日本の高校卒業生は基本的に必ずIFYを専攻しなければいけません。

なので、通常、イギリス大学留学すると卒業するまでにIFYの1年+学士課程3年の計4年の時間と費用がかかります。

一般的にIFYの授業は英語力を養うためのEnglish Courseと進学するにあたって必要な基礎知識を養うAcademic Programmeの2つで構成されています。

まず、English Programmeですが、受講生が大学の授業についていけるように英文法やディスカッションスキル、英文でのエッセイの書き方、ノートの取り方などを徹底的に学びます。

IFY受講生は英語力の高低問わず、全員English Programmeは必修科目となっています。

コース修了前には担当者との1対1のディスカッションテストやエッセイ型の筆記テストが用意されており、無事合格点をクリアできれば、大学コース1年目へ進学することが可能です。

一方、Academic Programmeに関してですが、ここでは一般知識および学術知識を学ぶためにレクチャーやワークショップ形式の授業が提供されています。

Academic Programmeは専攻予定の学士課程分野によって、プログラム内容が変わります。逆説的に言えば、IFY入学前に修了後の本コースを選択する必要があります。

例えば、もしIFY終了後に開発学課程を専攻する場合だとBusiness, Media and Social Sciences、エンジニアリングを専攻する場合はScience and Engineeringになります。

上記の例では開発学を挙げましたが、心理学やビジネス、国際関係、アート、映像学などもBusiness, Media and Social Sciencesに該当します。

わかりやすく説明すると、進学後の分野が文系であればBusiness, Media and Social Sciences、理系だとScience and Engineeringと言った感じです。

※IFY Academic Programmeでは上記2種類しか提供していません

サセックス大学進学後のアカデミック授業と形式や雰囲気は全く同じなので、進学後の授業を簡単にイメージすることができます。

加えて、※進学してしまえば専攻コース以外の分野の授業は基本的に取れない中、ビジネスや心理学、会計学など様々なフィールドをまたいで授業を受ける環境となっているので、ちょっとお得です。

※例外として、学士課程+シングルメジャーのコース専攻生かつ単位が年120以下であれば、Sussex Choiceと呼ばれるプログラムにて専攻コース分野以外の授業を単位を取りつつ受講することができます。この辺は複雑なので、本稿では割愛します

さらに、限定的ではありますが、IFY受講中に最初に決定した進学先コースを変更することができます。

限定的と言ったのは、大きく分野の違うコースへの変更は効かないためです。つまり、Business, Media and Social Sciencesに該当するコースを選んでしまえば、Science and Engineeringに該当するコースへの変更は認められないという事です。

課題や期末テストに関しては、ディスカッションテストが無い代わりに、エッセイやポートフォリオ作成など多少の相違はありますが、English Programmeとほとんど同じです。

IFYで提供している独自の奨学金制度もあります。

こちらは変動制となっており、入学前の学生の最終成績や入学動機などによって奨学金の金額が変わります。

IFYの入学時期は毎年1月または9月の2種類あり、時期問わず、入学条件としてIELTSスコア5.0以上が必要です。

インターナショナルイヤーワン(IYO)について

続いて、IFYと同じく学士入学向け準備コースであるインターナショナルイヤーワン(通称IYO)についてご説明していきます。

IYOは英語の授業+現地の大学一年生が受講する授業が組み合わさったコースです。

英語の授業は先程ご紹介したIFYと同じような感じです。一方、アカデミック授業に関しては、こちらの方が専門性に重きを置いているので、少しハードルが高いです。

ここでいう専門性とは、コース2年次への進学に当たって必要な知識を取得を指します。

言い換えれば、イギリス大学1年生が学ぶことと同等の内容を学習しながら、英語も勉強するプログラムと言えます。

大きな特徴としては、IYOは大学1年生が受講するクラスを受講する仕組み上、準備コースにもかかわらず大学1年分の単位を取得することができます。

つまり、IYOを通して入学すれば、IYO1年+残りの大学学士課程2年の計3年でイギリスの大学で学士号を取得することができます。

留学費用1年分を抑えることができるので魅力的ですね。

ただし、IFYと違って、通常の高校卒業資格のみでは進学できず、高校卒業+短大や専門学校などの追加の学歴が必要になります。ご注意ください。

大学2年生への直接進学が前提になるためか、進学先のコース分野ごとにIYOプログラムは細分化されています。以下、IYOコース一覧です。

IYOコース一覧
  • Business and Management
  • Computing
  • Engineering
  • Film and Media
  • Finance and Accounting
  • International Relations and International Development

ご覧のように、単純に文系・理系に分けられているのではなく、各進学先コースごとに合わせてその分野の専門性を重視しています。

ここで、"心理学とか生物学とかないんですか?"と疑問に思う人がいらっしゃるかと思いますが、ご認識の通り、IYOではそれらのプログラムは提供していません。

なので、リスト上に該当しないコースへの進学を希望されている方々はIYOは受講できないので、IFYからの進学になります。

計3年で卒業できるIYOは有益ではありますが、決してすべてにコースに該当するわけではないのでご注意ください。

入学条件は前述の追加の学歴に加えて、英語条件はIELTS 5.5と少しだけ高く設定されています。

なお、1年間での入学可能時期や奨学金制度はIFYと全く同じです。IFYの項目をご参照ください。

プレマスタープログラム(PMP)について

最後にお話するコースはプレマスタープログラム(通称PMP)です。

PMPは修士コースへ入学を検討している人に向けた大学院準備コースです。

IFYと同じく、専攻希望の修士コースによって文系か理系のプログラムにわかれます。

授業形態に相違はございませんが、修士コース向けの準備コースなので授業内容及び課題提出に関しては少しハードルが高く設定されています。

IFYと違って、日本人留学生にとってPMP受講必須ではないのであまり馴染みはないかもしれませんが、修士コースへの直接入学が難しい人であれば選択肢に入ると思います。

例えば、短大や専門学校のみを卒業された人とか大学卒業時のGPAが低い方などが当てはまるでしょう。

PMP用の奨学金制度もあり、こちらは上限£3000まで受給できます。

入学時期も一年間に数回ある+1学期制と2学期制の2つ存在します。コースの長さや入学時期はお持ちの英語スコアによって異なってきます。

詳細に関しては、公式ウェブサイトをご参照ください。

授業内容に関しては前述したIFY修士学生向けのプログラムなのでこちらの方が難易度は高いです。

大きな違いを挙げれば、修士コース進学準備コースなので卒業論文執筆に必要なリサーチスキルの授業が必修となっています。

質的・量的研究や方法論などを学ぶ授業ですので、進学する前にしっかりとリサーチの書き方について学ぶ事ができます。

本来であれば、在学中にコースに組み込まれているResearch Methodを事前に学ぶ事により、進学してから卒業論文を執筆が比較的楽になると思います。

まとめ

以上、大学準備コースに関してまとめてみました!

準備コースは基本的に民間の教育プロバイダーが提供しているパターンが多いです。

準備コースのメリットは、コースを修了し無事合格できれば、提携先大学への確実に進学可能な点ですね。

うちの場合だとStudy Groupが運営しているので、Study Groupと提携を結んでいる学校であれば、進学保証が付いています。

※教育プロバイダーごとに提携先大学は異なります。

費用こそかかってしまいますが、本コース開始前にしっかり準備しておきたい人や直接入学が難しい人、専門学校・短大から留学を検討している人などは準備コースからの進学を検討してみてください。

本日はここまで!